丸いお膳
「強迫神経症的な傾向のある私は、常に目覚まし時計が鳴る数分前に目を覚ます。
---いきなり眠りから引きずりだされるのを避けるためにそうしているにちがいない」
(哲学者 スラヴォイ・ジジェク)
小学生の頃、朝6時30分になると布団を剥がされ、全員がたたき起こされた、父に。
冬でも窓を開け、扇風機を外に向け、布団のほこりを排出する。
「丸いお膳」が部屋の中央に広げられ、朝食の準備が始まる。
4畳半5人暮らし、昭和30年頃の話しだ。
朝食は丼一杯の納豆と「こーこ」、「おつけ」。
「こーこ」とは「お新香」のこと。「おつけ」とは「おみおつけ」「味噌汁」のこと。
父は白菜の塩漬け、胡瓜・茄子・瓜の味噌漬け、たくあん漬けが得意だった。
飼育している2羽の鶏が生んだ卵を収穫して、2名が食べた。
だから、卵かけご飯も納豆も好物になった。
「always三丁目の夕日」の画像と違うのは---
母は和服でイアリングなどしていなかった。
エプロンではなく「割烹着」を着ていた。
ジャガイモたっぷりのカレーライスは月に1度の御馳走だった。
「丸いお膳」は三丁目と一緒だ。
朝食が終わると、ランドセルをしょって「行ってきま~す」と家を出る。
10分ほど歩いて、宮前小学校の裏門が開くのを待つ。
画像は2017年の「品川区立宮前小学校の裏門」
結婚して39年。お膳を囲んで食事をした記憶がない。
家族で食事の時間を合わせるなんて無理だった。
それぞれ都合のいい時間帯に食事をする。
俺の朝食は6時。冷凍食品、チーズトーストが多い。
連れ合いの朝食は8時頃。何を食べているかは知らない。
俺の夕食は午後5時。缶ビールとおつまみ、生野菜。
連れ合いの夕食は午後7時頃、何を食べているのか知らない。
食事は「丸いお膳」から「四角いテーブル」、そして今は「パソコンデスク」
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